I want to talk about JAMIE, too!

ジェイミーめ~~~~~~~~~っちゃ面白かった~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!!!!!! ステージツアー映像もめっちゃ面白かったです!!!!!!!!!!!!!!! 大千秋楽おめでとうございました!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

物語について

主人公は16歳の高校生ジェイミー・ニュー。彼には一つの夢があった。

それはドラァグクイーンになること。そして高校のプロムに本来の“自分らしい”服装で参加すること。母親から真っ赤なヒールをプレゼントされたことをきっかけに夢に向かって強く突き進む思いを抱いたジェイミーだが、学校や周囲の保護者たちは猛反対。ジェイミーの夢を理解できない父との確執や周囲からの差別など、多くの困難を乗り越えながら、自分らしさを貫くジェイミーの姿に勇気と感動、そして幸せをもらえる、最高にハッピーなミュージカル!

horipro-stage.jp

 

情報発表された第一声が「え、何回行こうかな?????」だったんですが、ま~~~~~じでよかった。具体的には大人たちの優しさがすっごくよかった。

元・伝説のドラァグクイーン「ロコ・シャネル」であるヒューゴが営むドラァグ用衣装店で、ジェイミーが初めてドレスを着た場面。ジェイミーはノーメイクで、かつらもつけていないし、ロコ・シャネル着用の赤いドレスも体に合っていない。事前にヒューゴが「ドレスを着た男の子は笑われるだけ(でもドラァグクイーンは畏怖の対象)」とい言ったとおり、正直、あまり似合っているとは言えなかった。けれど、ヒューゴは眩しげに目を細めて「あたしにはわかる。それがあんたの本当の姿」(うろ覚えです)と笑いかける。

も~~~~~~泣いた。ばしゃばしゃに泣いた。

だって、衝立の陰から出てきたジェイミーは、素敵なドレスを着られて嬉しげなんだけど、ちょっとおずおずしてるんですよ。ヒューゴの顔色やリアクションを窺っているというか。

それは「頭の中の壁」で歌われていた、パパの言葉のせいなんですよね。小さい頃にドレスを着て歌って踊っていたところを見られて、そのとき吐かれた心ない言葉にジェイミーは今もなお深く傷ついている。「超えていけ」と心を奮い立たせてはいるものの、やっぱりそりゃ怖いですよ。顔は笑っているけど、それは楽しいからじゃなくて、すぐに「冗談だよ」と誤魔化せるようにという盾なんですよね(ドレスを着てプロムに行く! とママに初めて言った場面もそう。先走るけど、二幕のパパとの対峙でジェイミーの表情がめちゃくちゃ“これ”で、見ていてしんどかった…)。ママも自分を愛して、応援してくれてるんだけど、心の底から理解してくれているわけじゃない。だってママは異性装愛者じゃないから(それでもなお、というところが尊いのだと思います)。素敵な先達がいるって、本当にすばらしい僥倖なんだよな…。

貸してもらった赤いドレスと、練習用のホットパンツを胸にぎゅっと抱いて、嬉しげに外へ駆けていくジェイミーが本当に嬉しそうで、かわいくて、もう思い出しただけで涙が出てしまう…。ヒューゴの「気をつけて、気をつけて!」もいいですよね。特に2回目の「気をつけて」。すごく温かみがにじんでいて…。森崎ジェイミーは嬉しすぎて、きみは弾丸か?ってくらい足が速すぎるし、髙橋ジェイミーはスピードは常識の範囲内なんだけどぜひ足元に気をつけてほしい。二度言わざるを得ない気持ちがわかる。いいかい歩行者用の信号が青になったからって突っ込むんじゃないよ、右見て左見て、もう一回右見て…ああもう姿が見えない……。大丈夫か…?(ヒューゴの人格)

 

ジェイミーとプリティの関係もすっごく好みでした。この二人がずっと仲が良くて、素晴らしい友人同士で、本当に嬉しかった~~~~~。

ドラァグクイーンが出てくる舞台作品というと『キンキーブーツ』が有名な先行作品になるのかなと思うんですが、私はどうしても一箇所だけモヤついてるところがあって。それはラスト、チャーリー(小池徹平)と ローレン(ソニン)がくっつくところなんですけど…。ストーリーやメッセージ的に、あれわざわざ恋愛要素入れる必要あったかな????? って思ったんですよね。『キンキーブーツ』における恋愛成立、「これはハッピーエンドですよ!」の呈示のためだけに入れてるように見えてしまって…。ラブロマンス作品なら男女カップル成立エンドもわかるんですよ、でも男女恋愛成立だけが物語のたたみ方ではないじゃないですか!? もっとハッピーエンドの定義から詰めてこ! ちょっと待って! その男女カップル成立エンド、本当に必要ですか???(注意喚起ポスターか?)

そんなわけで素敵な友人同士であり続けたジェイミーとプリティの関係が、私的にはめっちゃヒットでした。こういう作品もっと増えてほしいな~。

 

ドラァグクイーンの皆さまが最高だった話していいですか? \いいよー!/ サンキューアリーナ!

ヅカファンなので、「お話は~おしまいよ~♪」と皆さんが出てきた瞬間に「フィナーレつき一本物だ!!」と脳が誤認したし、そのあとにロコ様がおいでになるのはもう確実に幕が横に開いたらトップが大階段のど真ん中で板付きしてるやつなので、拍手入れたすぎてたまらなかった。東京前楽(森崎・田村・佐藤・樋口楽)回では拍手が入ったのでサイコーでした…。ありがとう。

 

ラッキーなことに全キャスト1回ずつ見られたので、覚え書き代わりに残しておきます。

森崎ジェイミー

傷をひっそり抱えているからこそ、人間として明るく、素直で、あたたかな優しさを持ち、…こんなチャーミングな子がクラスの人気者じゃないのおかしすぎだろ!!!!!!!!!!!

いやほんとに、すごくよかったな…。ママとの関係もこれ以上を求められないってくらいに良好で、愛情を受け止める器がものすごく広い。たっぷり注がれた愛を注がれたままに受け取って、なおかつてらいなく返すことができるという稀有な人間に見えました。だからこそ、父親から受けた傷が今もなお生傷のままで横たわっているのが見えたとき、傷の深さを窺い知れたのと、それでもなお笑う強さが眩しかったです。

ウィンくんのジェイミーはマジでドラァグクイーンとして大成すると思う。ロンドンに出てみてほしい。ショービジネスの星になれる。きみはスターだ。

タカラヅカにいたらたぶん星組。ショーでの輝きが目にまぶしすぎるのが見える(幻覚)。

 

髙橋ジェイミー

ちょっと内気で、繊細で、心優しい少年が「ミミ・ミー」という鎧を手に入れ、その鎧を自ら脱ぎ、ありのままで自己表現をする様がドラマティックだった。

楓くんジェイミーは、パパの心ないひとことのせいで愛情を受け取る器にちょっとだけひびが入ってしまったように見えた。ママが愛してくれているのはわかっている、でも自分の存在そのものに自信がない。パパに例のひとことを言われたときの楓くんジェイミーは風に吹かれて消えちゃいそうだった。

楓くんジェイミーは今後ドラァグの道を進むのかな。どうなんだろう。てかラストのお衣装がへそ出しで度肝を抜かれた。後日、ウィンくんのジェイミーを見たら別に腹出してなくて二度驚いた。ゴミ出しでへそ出しルックなのきみ!?!?!?!??!?!?

タカラヅカにいたらおそらく雪組。あるいは宙組かもしれない。シュッとしてるので…。

 

田村プリティ

か、か、か、変わり者~~~~~~~~!!!!!!!!

何だろう、数式をそこらじゅうに書き散らかすとか感情のたかぶりをブレイクダンスで表現するとか、別に取り立てておかしな行動なんか何ひとつしていないのに、なんかちょっと風変わり。意志が強くて、今やるべきことがわかっていて、でも眉毛描きに失敗した友達を見捨ててはおけなくて、そして勇敢。

きみのご両親はきみがとってもプリティだったからプリティって名付けたんだよ!!!!!!!!!!!

タカラヅカでいったら月組でしょう。月組生は個性を突き詰める職人気質なので…。

 

山口プリティ

先にめいめいプリティの風変わりっぷりを見ていたので、どんな感じなんだろう…と思っていたんですが、ヒロインや…! とめちゃくちゃ驚かされました。特に二幕のプリティの部屋が印象的だった。優しく包み込んでくれるお姉さん感というか…。

ディーンがプリティに向かって投げつける罵詈雑言はどれも全部ひどいんですが、ののかプリティに対してそんなこと言うなんてマジディーンてばお前まともに喋ったこともないくせに外的なラベルだけでよくもまあそんな人を貶めることができるわね?(一息)(夢クラスメイト)みたいな気持ちになる。

タカラヅカなら花組。主演男役の婚約者役とか見たことあるもん(幻覚)。

 

佐藤ディーン

顔はかわいいのにめちゃくちゃ怖い。なんだろう、怒鳴ったり蹴ったりあんまりしないのに(いやジェイミーの頭はたいてるな…)、なんかものすごく怖い。堅気じゃない。でもそこが好きです。レッグスイレブンのショーに出る前のジェイミーを掴まえて、心ない言葉をかける場面、あの場面の佐藤ディーンの喋り方…というか声の低さと抑揚の付け方が全部ツボ。つらいときにカンフル剤として聞きたいので、あの口調で好きなおにぎりの具とか、ファッションブランドの話とか、ベッカと付き合ってたころのこととか教えてほしいな……。

森崎ジェイミーと佐藤ディーンが個人的にベストマッチの組み合わせです。ディーンは物語上、有害な“男らしさ”を象徴するようなキャラクターなんですよね。でも佐藤ディーンはさほど身長がない(=“男らしさ”が一部欠けている)。一方で森崎ジェイミーは背が高くて、骨格もしっかりしていて、ある意味では佐藤ディーンより“男らしい”。でも彼はゲイで、ドラァグになりたくて、だからディーンはちょっとコンプレックスを抱いていたのかもしれないな~、なんて思ったり。

タカラヅカなら星組星組生はステゴロが強い(※わたし基準です)。

 

矢部ディーン

チャっっっっっっっっっっっラい。そしてノリが良さそう。等身大の男子としてのリアリティがすごくあった。ああいう男子、絶対にクラスに一人はいる。矢部ディーンと過ごした高校2年の頃の思い出が一瞬にして頭によぎったもんね。合唱コンクールは惜しくも2位だったときのクラス。懐かしいな~卒アルまだ実家にあるかな~?(ないよ)

髙橋ジェイミーと矢部ディーンの組み合わせは見られなかったんですが、この二人だとナードとジョック感が際立って、物語が一段階リアルな感じになりそうだな…と思いました。あ~~この二人でも見たかったな~~~~!!

タカラヅカなら宙組かな。宙男はみ~~んなジョックなので。スーツを着て生まれてきた、それが宙男。

 

樋口ミス・ヘッジ

っょぃ…勝てなぃ…あまりにも圧倒的……しゅき……(強い女性好きのオタク)。一度下手で「Work of Art」の樋口ミス・ヘッジのキメ顔をほぼ正面から受け止めてしまい、まじで精神がめろめろになってしまった…。なのに電話のアドリブで親しみとかおかしみを出してくるのずるくないっすか!?!?!?

タカラヅカだったらほぼ確で星組

 

実咲ミス・ヘッジ

みりおんの硬質で、きりっと生真面目な感じが、あ~~~この先生なんか融通きかなそ~~~~~頭も固そ~~~~~~~感に繋がっててよかった。個人的には、ラストに入場を許可するあの下りはみりおんのほうにより説得力を感じました。

実咲凜音さんは元宙組トップ娘役です。これがやりたくて今まで組分けしてたんだろって? ええそうですとも。

 

太田ミッキー

すみません彼は学生役のアンサンブルで、別にWキャストとかじゃないんですけど、書きたいので書きます。

有り難いことに複数回入れたので、二幕のプロムでミッキー定点カメラしたことがあるんですけど…メンタルが…めちょめちょになりました……。

プリティがディーンに正面切って向かい合う場面、女の子たちはみんな真剣な面持ちでプリティを見守ってるんですけど、男子はだいたいヘラヘラしてるんですね。いわゆる「お前の攻撃なんか効いてない」アピール。で、最後にプリティが「ええ、私はヴァージンよ」と誇り高く言い切るじゃないですか。自分は性的経験がない、でもそれを何らおかしいと思わない、という宣言に、ミッキーが小首を傾げて肩を軽くすくめ、両手を肩の位置に上げたんですよね。何だこいつ? みたいな。意味わかんね、頭おかしいんじゃねえの? みたいな。

おあ~~~~~~~~~~~~~~って思いました。まじか~~~~~~~~~~~~~ってなりました。

前提として、そもそも『ジェイミー』は(ミス・ヘッジを除いては)大まかに「男性と、男性じゃない人たち」に分けられるのかな~と見ながら思っていました。ミス・ヘッジを除いては「男性じゃない人たち」がジェイミーの味方なんですよね。「女性」じゃないんだよな、ってところと、「男性」に比べて「男性じゃない人たち」は多様な人々がいるってところがミソなんじゃないかな~と思います。

ヒューゴおよびドラァグの皆さまについてはまあ言わずもがなですよね。他にも、マーガレットとレイ。この二人は(おそらく)異性愛者だけど、友人としてお互い助け合って生活している。ジェイミーとの続柄を尋ねるミス・ヘッジに答えた「家族みたいなものよ」が本当にすごい…。こんないい台詞がこの夏聞けるなんて思わなかった…。

クラスメイトの女の子たちもそう。プロムにお洒落してきたプリティに言う、その色は自分じゃ選ばないけどあんたにはよく似合ってるね、みたいな台詞が本当にすばらしいな~と思った。ちょっと固く言えば他者の尊重、みたいな。あなたとわたしは別個の人間だけど、必要なときは手を取れるんだ、っていう…。

一方で、「男性」(+ミス・ヘッジ)の考え方は保守的であるように見えた。男なんだからズボンを穿くべき。男が化粧をするなんておかしい。そして、性的な経験がないのは恥ずかしいこと。

演者である太田さんのことは、オタクではないのでものすごく知っているというわけではないけど、かろやかで、物事への自分なりの軸がある、さっぱりした人だなという印象がある。いわゆる「ファンサ」という言葉について、サービスという意識はない、お客さんとのコミュニケーションだと思っている、という発言だったり、同じ事務所でおしゃべり上手な溝口琢矢さんが「おしゃべりクソ野郎」と一部で(親しみを込めて)呼ばれていることに対し、その文脈はふまえた上で「琢矢はクソ野郎なんかじゃないよ!」とあえて言ったところだったり*1。特に後者のコメントを聞きつつ、この人いい人だな…としみじみ思いました。安易に言葉を使わない人、自分のものの感じ方を言葉にして伝えられる人なんだなあ。

そんなふわっとした認識で、たぶん初めて劇場で太田さんのお芝居を観たんだけど、マジでえっぐい芝居してくんなあ~~~と思いました。このタイミングで! このリアクションを! さらっと入れてくるか~~~~~~~~~~~~えぐ~~~~~~~~~~~……(語彙)。 自分はわりと早々にプロム会場に入るしよ~~~~~(これは別に役の解釈云々だけの話でもないかもしれませんが)…。なんか、男性学の本とか読みたくなりました。たぶんミッキー単体だったら普通にそこそこいいやつだと思うんだよな~、サイ(小西詠斗くん)もだけど、頼んだら普通に文化祭の準備とか手伝ってくれそうだし…(ディーンは絶対手伝ってくれない)(夢クラスメイトその2)。

 

いや~いい夏だったな~~~~! ありがとうジェイミー!!

 

*1:出典:溝口さんのほうは2021年4月12日のインスタライブです。あまりに感動したらしく、日付まで残してあった。