【ネタバレあり】舞台「かがみの孤城」感想

舞台『かがみの孤城』@サンシャイン劇場を観劇しました。

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めっちゃよかった。舞台→小説→舞台の順で観劇&読書をしたので、順を追って書きます。ネタバレあり。

 

初見時の感想としては“こころとアキを中心にした救いの連鎖”だな、と思いました。こころは喜多嶋先生がいたから大人への信頼を損なうことなく、萌ちゃんともう一度話せた。その結果、アキの「ルール破り」のペナルティ対象外となり、アキやみんなを助け出せる。こころに救われたアキは、こころに貰った言葉を抱いて大人になって、「喜多嶋先生」としてこころを助ける。アキちゃんと喜多嶋先生の種明かしをされた瞬間がめちゃくちゃぐっときた…。あれ舞台ならではの演出だよな~~~~~~~~!!!

それから閉城のリオンとオオカミさまの場面! 本編の第一声が「3月30日は間違いじゃない?」という指摘であることなどが顕著だと思うんですけど、リオンってスバルとはまた別ベクトルで、冷静で聡明でちょっと大人びた子として描かれているじゃないですか。それなのに、覚えていたいよ、の声が…5歳と13歳の心を両方内包していて…。気がついたらサンシャインで五分丈のパーカーを買っていた。「理音…」て言いながら買ったんだけど、今見たら袖の丈感すら合ってなくてわろてる。フードと紐の存在しか合っとらん。判定基準ガバガバか!?!?!?!?!?

時間のずれ問題に関してはわりと早々に察してしまったので、マサムネが「パラレルワールド」を言い出したときは「お~まえ何ややこしくしとんねんもっとシンプルに考えろや」と思った。笑。ごめん。

 

 辻村深月著『かがみの孤城』。気になってはいたんだけど単行本を置くスペースがねえ~~~~~~~~~!!(溢れる本)(本棚に入れることをn年前から諦めている)(本の山が家中そこかしこにそびえ立っているので怒られる)という理由で読めていなかったんだけど、うわ~~~もっと早く出会いたかった~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!!!!! 中学生のときに出会いたかった~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!!!

小説を読んでびっくりしたのは、“家にも学校にも居場所がない子どもたちが、『城』という安全地帯と仲間を得た物語”だったことでした。私ははやみねかおる育ちかつ『都会のトム&ソーヤ』が好きだった子どもなので砦/安全地帯がとても好きです。うっそ聞いてないよ!! 誰か言ってよ!!!!

舞台と小説という媒体の強み弱みみたいな話になるんですけど、小説って何というか、対照人物ひとりにフォーカスをあてて深く深く掘り下げるみたいなことが得意じゃないですか。スバルもマサムネもフウカも、私、あなたたちのこと全然知らんかった…。特にウレシノ、あれ舞台→小説の順に触れた人で8月のウレシノの台詞が突き刺さらなかった人はいるのか? まあ正直ウレシノの行動はムチャクチャ迷惑かつ確実に絶許案件だが…。7人、しかも女子3人の小グループでやられたらマジでうざすぎるし、結束を固める手っ取り早い方法は外に共通の敵を作ることだと申しますけれども…。でも、ウレシノの行為は迷惑極まりないと思ったからといって、彼を笑いものにしたり、笑っていいものと見なしたりしていい理由にはならないんですよね。マジで。我が身を省みるとめちゃくちゃつらい。

あとはこころ視点部の締め方な~~~~~~~~~!!!!!!!!! 冒頭と美しく響き合ってて、余韻がある……。

赤ずきん」かと思いきや実は「七匹の子ヤギ」のオオカミだった、というトリックだから、舞台で×印がヤギの子らの隠れ場所にあることに全く疑問を抱いていなかったんだけど、小説だと×印のありかが各個人の部屋にあって、なるほど~~~と思った。この城は「七匹の子ヤギ」の見立てである、という点は舞台版のがわかりやすいけど、小説版では記憶という各個人のプライバシーを覗き見るという行為が「各個人のために用意された部屋に入る」という行為に重ねられているんだろうな。決して興味本位などではなく、確かめたいことがあったから、という理由づけもなされて、そこはよかったな~~~。舞台ではそんな説明台詞挟む余裕もないのはわかってんだけど、こころに躊躇がない&あまりにもテンポ良く記憶が再生されるので三人目以降はちょっと「プライバシー!!!!!!!!!!」となっちゃったので…。

 

二回目の観劇時は東京楽前日だったこともあってか、アドリブがちょいちょい挟まれてて面白かったな~~~。閉城の際、お互いに名前を教え合う場面で、ウレシノの名前をみんなで声合わせて言うのがめちゃくちゃかわいすぎて膝をつねった。なかよしかよ…かわいいかよ……。

水も食糧もないけど、なぜか電気だけ通ってるという話のときに姉ちゃんのドールハウスを思い出して早々に泣きました。早い。でもこの件はちょっと舞台版だけ見てもわかるよう触れてほしかったな~~~オオカミさまとの場面でリオンの台詞にちょっと足すだけじゃん!?!?!?!?!? 上演時間的な問題なんかな…。いやそれを言うなら病室の場面で卓上にドールハウスを用意したほうがいい…? あの一連の場面、テンポ良くみんなの背景を叩きつけてくるから役者も小道具さんもみんな忙しそうだけど…。

あとまぁ初見時から「ん?」とは思ってたけど、リオンってこころには「母親は専業主婦」って言うのにクリスマスでは「仕事が忙しいらしくて」 って言うよな?? あまりにナチュラルに言うから「覚え間違いかな?」と思ったけどやっぱそうだよな?? ねえ~~~~~~~~!!!!!!!!!!!!

初見時「小説で回収されてるかな?」と思ったら小説でも未回収だったのでおい!!!!!!!!!!!! となった、クリスマス会でリオンがオオカミさまに渡したもの。あれはマジで何??????? 読み逃してる?????????? と思ったのでガン見したんですけどよくわかりませんでした(最悪の報告)。

 

  

久しぶりに劇場に行けて、よい物語に触れられて、本当~~~~~~~~にうれしかった~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!! 劇場は最高…そして小説も最高……。

 

 

ローラとわたし

友人に「来週キンキーブーツ行かない?」と訊かれた。それがきっかけだった。

 有名タイトルなので元々興味はあったし、実際とても良い舞台だった(2019年に出すにはちょっとどうなの、みたいな部分もあったけど)。今回は作品全体ではなくローラと私自身に絞って、書く。

 

 

ローラ。ローラについて、キンキーブーツについての記憶は、あるオフィス街の景色と結びついている。

その日は午後から面接があった。最寄り駅から企業まではちょっと歩くようだったので、早めに着くようにしてルートの下見をした。案外迷わなかったので想定よりだいぶ時間が余ったが、よく知らない街、しかもオフィス街で、就活中だからそのへんのなんかよくわからん洒落たカフェに入るお金と気持ちの余裕もない。だから適当な時間になるまで私は企業から駅までの道を延々と折り返し歩き続けていた。そのとき聞いていた中でよく覚えているのが、キンキーブーツの「Raise you up」だった。

 

キンキーブーツは二階席で観た。二階席でよかったと本当に思っている。物語のラスト、ローラが現れた時点でものすごく胸がいっぱいで、万が一「Raise you up」を歌うエンジェルズが私のそばに来ようもんならひざまずいていた可能性がまあまあある。ローラという人物を通して体現されるメッセージがあまりにも力強く、まぶしかった。私は二階席で拍手をしながら、舞台に立つローラの足元にすがりつく自分を見た。

 

パンフレットがいま手元にないのでうろ覚えで喋る。ローラは異性装者をするがゆえに周囲の差別や偏見で作中時間だけでも何度も傷つけられてきた。自分はパパの望むような息子にはなれない、という共通点を見出し、チャーリーと心を通わせる(「Not my Father's Son」)。だからそれゆえに、物語後半でのチャーリーの裏切りにはよりいっそう傷ついたんじゃないかと想像する。

チャーリーが謝罪の電話をかけた際に、きみは他のどんな男よりも男らしいみたいな台詞があった。あの台詞を聞いたとき、私は呆然とした。それは断絶の台詞だと思った。チャーリーとローラはほんとうの意味でお互いをわかり合うことなんかできない。いやまあ、この世に生きる誰もがそうだと言われればそうなんだけど。でも、なにもかもが異なるふたりの人間が板の上に出てきたらそりゃわかり合うもんだって思うじゃん!? 何だかんだ言っても「Not my Father's Son」を信じたかったんだよこっちは!! でもたぶんチャーリー自身にとってあの言葉は相互不理解を突きつけるための台詞じゃなくて、本気の本気で褒め言葉なんだろうな…脚本的にもこれがローラの心を揺さぶる会心の一行なんだろうな…というのが察せられてさらに重たい気持ちになった。

このあとは十中八九ローラがランウェイに現れてチャーリーの窮地を救うんだろうな~と想像がついたからこそ、行くな!! 関わるな!! マジでやめとけ!! そばで見ていても、こちらが言葉を尽くしてもこんな有様の男だぞ!! と思った。ローラに、今までたくさん傷ついてきたであろうローラにこれ以上傷つく可能性のある場所に行ってほしくない気持ちと、でもローラにまた会いたいという気持ちがあった。

 

 

ローラは最後、ランウェイに現れなくてもよかったと思っている。チャーリーを許さなくたってよかったし、「今度はローラがやる番よ」なんて歌わなくてもよかった。だけどローラはあなたを引き上げてあげると言う。ローラだって傷ついてつらくて苦しむことがあるのに、ランウェイ上でのローラはそんな影の気配を微塵も見せない。明るく華やかで強くて自信たっぷりで、しかも「let me raise you up」、私にあなたを引き上げさせてください、だ。こちらこそ引き上げてくれとお頼み申す立場なんだが…? 「立とうとしてもがくあなた」も良い。わかってくれるの…? わたしのこと…。今でも歌詞を思い出すだけでうるっとくる……。というか、ウウッとなる……。だから普段、何気なく聞けない。この曲は大事なときに、お守りみたいに聞いている。

「Just Be」もめちゃくちゃよかった。ローラが、自分のなりたいように振る舞うことでいろんな辛酸を舐めてきたであろうローラが、それでも明るく楽しく、人生には影なんてないみたいに歌い踊るのがよかった。あの歌は我々の背中を押し、励ましてくれる歌であると同時に、ローラが自分自身の人生これまでや生き方を肯定する歌であり、ローラ自身の背中をも押している歌だと思った。もうほんと、ラスト2曲は観劇時の記憶があんまりない…目に焼きつけておかなきゃとはいうものの、その目が役立たずなので舞台上の景色をなんにも覚えてない……。でもいいんだ(言い聞かせ)、初観劇は特に、自分がどんなコンディションだったか、その舞台を見てどう思ったかまで含めて体験だから…。

 

なりたい自分になりなさい、落ち込んだときは引き上げてあげる、とローラが言うから、就活時、私は何度も何度もローラの手を思い浮かべていた。この手をどうぞ、とこちらに差しのばされた手、その手を握る。空想上で手を掴んでもらったからって、パンプスの靴擦れもストッキングの蒸れもエントリーシートの締め切りも面接も自己分析も電話も知らない人間と会い続けるストレスも別になんにも良くなりはしない。けど、間違いなくあの頃、心を支えてくれたもののひとつだった。

 

ローラ。私はたぶんあなたみたいにはなれないと思う。私を不当に傷つけてきた奴らのことは今後何があっても許さないと固く決めているし、今でも思い出してはうっすら呪っている。高いヒールだって履けない。

でも今、あなたが手を差し伸べてくれたおかげで曲がりなりにも会社員として立っている。あなたと、あなたによく似た面差しのとてもハンサムな人にもう会えないなんてまだ信じられないし、本当だとしたらそれはすごくさみしいけど、会社員どうこうとかではなく、なりたい自分になりたいと思う。あなたのように。

 

 

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自分のなりたいように振る舞うことでいろんな辛酸を舐めてきたであろうローラが、それでも明るく楽しく、人生には影なんてないみたいに歌い踊るのがよかった」と上で書いた。これはあくまでキンキーブーツという作品の登場人物、ローラに限定した感動であることを念のため追記しておく。

 

ハンサム2020円盤を(今さら)見た

経緯

 7月18日、8月3日、その他私生活における忙しなさで円盤が届いたきりなかなか見られなかったハンサム2020を、友人と同時再生という形でようやっと見ました。両国国技館から半年、円盤発売日からも一ヶ月経っており、今!? とは正直思うけど、未来の自分のために感想を書き残しておこうと思います。

 

 

感想①:全体

キュンファイ一回戦を亡きものにすな!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

 すみません楽しかったです面白かったです。現役と先輩、上手い具合に二つの世代が一つの舞台に両立していたしお衣装はみんなハイセンスかつピッタリだし無礼講→親孝行の流れは何度体験しても最高。あの流れを考えた人は天才。わたしが一国の主だったら金銀財宝どれでも好きなものを取らせた。だけどすみません、感想を書こうとするとどうしても第一声がこうなる。具体的には二時間ほど真っ白な編集画面を見つめていた。

 何で?????? 何でカットした?????????? 太田将熙&藤原大祐ペアを後世に残さないというその選択肢はないだろアミューズ!!!!!!!!!!!!

 マジで悲しみがどうしようもないので文字の大きさで遊んでみました。いやほんと、面白かったし楽しかったです。こんなに歌って踊って、「俳優」って何なんだろうな。

 

 

感想②:2020年新曲について

・Beautiful Stranger

 曲がいい。本当に曲がいい。会場で聞いたときも心臓が痛くなるくらい昂ぶったけど、円盤で見てもテンション爆上がりした。めっちゃいい…。

 舞台上にいっぱい人間がいるので(ライブ初心者)、いま思うと全然見られてなかった…。単純に自分の見ていなかったところがいっぱいあるので、新規絵がいっぱいだった。青春cm2で覚えた(遅い)なゆかなさんがすごく強かったのでギャッ!!!!! てなったし、大祐ちゃんが大物すぎて小刻みに震える。実質5公演目。友人と同時上映のあとにもう一回自分ひとりで見たんですけど、視覚と聴覚をいっぺんに使うのが苦手なので無事に6公演目が爆誕しました。えっ新規絵じゃん!!(2回目) たぶん7公演目もあると思う。

 甲斐翔真さんは王者の風格がすごい。国が繁栄しそう。

 

 

・桜の街

 歌がうまい。めちゃうまい。ここはクリエか? いいえ両国国技館です(クソリプ)。

 二人の声を味わっているといつの間にか曲終わりの拍手をしているので、歌詞を聞く余裕がいつもない。甲斐くんの骨太な声と小関さんのしなやかな声…

 二人ともスーツだけど小関さんが白タートルで甲斐くんがシャツ&ネクタイなのとってもいい。ていうかあのシャツの刺繍が金色かつカフス部分にも入ってるのすっごいオシャレ…高貴……。桜色とライトベージュという淡い色合わせもすごく綺麗だった。

 

・A(C)

 かわいい…みんな全身全力なのが歌詞にも合っててすごいかわいい…保護…目がいっぱい欲しい…人体には何で二つしかないの…?

 若くてかわいいナンバーにかっこいい軍服テイストを合わせてくるの天才の所行か? 特になゆたくん(金髪)に赤を当てたのは本当に天才。金×赤はいつ何度見てもよい。本当にすばらしい。 あと背景スクリーンのコミック風描き文字演出! ポップでカワイイ。

 
・MASQUERADE

 かわいいの具現化・藤原大祐!

 声が甘い鈴木仁!!

 かわいさにひと匙の色気を垂らした正木郁!!!

 これらのニュアンスの違う「カワイイ」を持つ三人に、セクシーの蛇口を大解放なさった松岡先輩が入ったことでピリリと締まった最終公演。すごかった…。これを見てわたしは「甘辛ミックスコーデってこういうことか」と腑に落ちました(発想が卑近…)。なるほどこれが完成形…!

 お衣装も白なのがSecret Kissメンバーと対照になっててすごくよい上にひらひら!! ひらひらがついてる!!!! ひらひらがひるがえるととってもうれしい!!!!!(子ども)

 大祐ちゃんのショートパンツはTwitterで知りました。脚ほっそ!!!!!!!!! 折れそう!!!!!!!! いっぱい食べて!!!!!!!!!

 

・Secret Kiss

 安定の小関さんもものすごいけど、Secret Kissを歌うために生まれてきたような男・渡邊圭祐がつよい。thrillもこれを歌うために(以下略)だったのでたぶん赤の照明が死ぬほど似合うんだと思う。これからも深紅に染まるけすけさん(語弊)を浴びたいですアミューズ! ご一考ください。

 海斗くんもすごい雰囲気出すのうまいな~!? キメの後の人を殺せそうな蹴りが最高でした。いいよいいよ~どんどん顎狙ってこ!!

 BSでもそうだけど将熙くんに長い丈の羽織り物をチョイスするのは心の底から大正解です。すらりと背の高い人にはロング丈を合わせろって故事成語がある(ない)。

 

・親孝行!!!

 繰り返しになるけど「無礼講!!!」からの繋ぎが本当に大天才!!!!! 血圧上がりすぎて死ぬんじゃないかと一瞬よぎった。ソイヤッソイヤッソイヤッソイヤッ! がないと物足りない体になってしまったので、どうにか実況CD*1を出してもらいたい。よろしくお願いします。

 あとこれ振り付けめっちゃかわいい~~~~~! 特にあの、折り紙で小難しいものを折るときには一度は絶対に出てくる、中心点にそれぞれの角を合わせて折る折り方みたいな振りがめちゃくちゃかわいいです(伝われ)。あと手を水車みたいにぐるぐる回すやつとか…。視覚と聴覚がいっぺんに働かないので相変わらず収録されている何もかもが新規絵。…こいつハピネスな感情以外まったく覚えてないな……?

 

感想③:先輩ハンサムについて

  踏んできた場数が違う。強い。ものすごく強い。放出エネルギー量っていうか、空間を埋める術みたいなものに長けてるなと思います。今まで積み重ねた時間に裏打ちされたいろんなものを持ちながら、のびのびと楽しんでいらっしゃったところがすごく印象的。水田さんの赤いロングジャケットが貴族そのもので本当にお似合いだった。客降りで目を合わせていただいたけど、謁見…! て思いました。笑 Butterflyはオリメン揃ってるの強いよなぁー!!

 

 7月18日昼過ぎ以降の報道が全然未だに理解できなくて、事実として飲み込めず、いや~こんなん何もかも嘘でしょと思っていたけど、生で聞いたものを円盤で聞いた今回初めて、あ、もうこれを聞けないんだ、と思いました。うららかな春の陽だまりみたいな「春の花」のサビ、金テープが発射されて客席に降り注ぐその瞬間を永遠に閉じ込めたみたいな「親孝行!!!」の美しいハイトーン、『キンキーブーツ』や『ホイッスル・ダウン・ザ・ウィンド』のすべて。幸運なことにわたしはそれらを生身で聞くことができたけれど、もっともっと聞いていたかったし、またいつか、どこかで次の機会があるんじゃないかと思っている自分がいるんだよな…。これを書きながらふと、永田和宏の詠んだ短歌「歌は遺り歌に私は泣くだらういつか来る日のいつかを怖る」を思い出したので、書いておく。

 

感想④:Wマサキについて

 事前番組であるハンサム食堂から重々承知だったけど、Wマサキはほんとうに並びがいい…! MCとしてふたりが画面に映るたびに何度でも新鮮にうめいてしまった。もはや鳴き声。並びがいい!!!!!!!!!

「So Free!」やら何やらで背中合わせになる瞬間が何度かあったけど、こんなに背中を預け合うのが似合う二人がいるか????? ハンサムはタカラヅカと親和性が激高であるというのがわたしの主張なんですが、あれからずっと雪組公演『Music Revolution!』フィナーレDの♪ティコ・ティコでWマサキで銀橋を渡ってくれないかと夢に見ている…。銀橋の両端から真ん中へと小粋に歌い歩いて、「君のすべて/僕のもの/君しか見えない」って背中合わせてじゃれるように歌ってほしくないですか!?!?!?!?!?!?! 絶対に合う…ていうか見たことある……。念のため申し上げておきますがわたしは至って正気だし現在素面です。

 それからアンコールの「I Treasure You」で郁くんのソロパート「君に出会えた奇跡 一生分の運を使ったと思う」で微笑む将熙くんが映り込んでいるの、俗に言う“持ってる”ってやつじゃん…? このカメラワークはもしかしなくても意図的なやつですか?? ありがとうアミューズ…。だがしかしそれならキュンファイ一回戦の指名時から映像に残さないと態度のつじつまが合わないと思う(思い出し怒り&悲しみ)。あと最初のMCのお相撲さんに見守られているトークも(どさくさ)。

 

感想⑤:「楽しんでくれてありがとう」 

 郁くんのこの一言がずっと頭から離れない。

 

「〇〇してくれてありがとう」は、相手が自分のために行ってくれたことに対して感謝を示す台詞だ。遊んでくれてありがとう、とか、ごはんを作ってくれてありがとう、とか、多くは具体的な行動を伴い、また、その行為も相手のためにと自覚していることが多いんじゃないだろうか(言葉は発された言葉そのものの意味だけでなく、発された文脈にもよるので、反例もまあまああると思うけど)。

 郁くんが最後の挨拶で言った「楽しんでくれてありがとう」はどうだろう。わたしたちがハンサムライブを楽しんだことに対して「ありがとう」と言ってくれている。少なくともわたしは、ハンサム出演者のためにライブを楽しんだわけじゃない。そもそも「楽しむ」ということは誰かのために自覚的に行われるものではないと思う。何か素敵なものに出会ってはじめて生まれる感情。それが「楽しい」なんじゃないかと考える。

 だからわたしは、この挨拶を聞いてすごくびっくりしたんだよなあ、と円盤を見て改めて思い出した。理由のひとつは、わたしの「楽しい!」という気持ちが演者に伝わっていると改めて知ったから。さらにひとつは、お礼を言われる筋合いのないことに感謝されたから。

 わたしの中の「楽しい! 嬉しい! ハッピー!」という感情は、わたしが勝手に感じたものだ。舞台上で歌い踊るハンサムたちを見て、化学反応のように生まれたものだ。だから本来はこちらが「ありがとう」を言うべき側だと思っている。事実、応援してくれてありがとう、などはよく聞く挨拶だ。応援は実際の行動として表すことができ、存在の有無がわかる。けれど感情は自分の中にあるものだから、存在しているかどうか傍からはわからない。

「楽しんでくれてありがとう」、この台詞は自分たちのパフォーマンスが観客を楽しませるに足りるものであったという自信に裏付けされたものであると同時に、こちらを包み込んでくれるようなあたたかい言葉だと思った。郁くんは最後の挨拶のとき、ずっと客席を眺めていたと記憶している。名前を呼んだり、拍手をしたり、そういうわたしたちの一挙手一投足を見つめるまなざし。会場でそれを見たわたしはどうにかこうにか欠片だけでもこのまなざしを覚えておきたくて、形容するための言葉を脳みそじゅうひっくり返して探した。優しさ、誇り、喜び……。そのうち不意に“慈愛”という言葉が下りてきて、胸を衝かれたことを思い出した。

 みんなみんな、やりたいことがやれるといいし、欲しいものが得られるといい。そういう意味では郁くんの決断を支持しているし、がんばってほしいと願えるけれど、ハンサムから入った身としてはやっぱり寂しいなとも思う。

 

 まあ何にせよ、ハンサム2020に間に合えて本っっっっっ当によかった~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! 今後「ハンサム」と聞いて一般的な語義的意味より先に、2020年2月の両国国技館で見たあの光景を思い浮かべるだろうこと、2月15日、16日という日付に新たな意味を見出せること、初参戦のハンサムが2020であったこと、全てが嬉しい!!!!!! 大事な宝物!!!!!!

 本当に楽しかった!!!!!!!!!!!!!! ありがとう!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

編集履歴

 2020/08/17 21:50 誤字脱字修正

 2020/08/19 20:50 誤字修正②

*1:宝塚歌劇で発売される、公演のもようをそのまま録音したCDのこと。公演を持ち運んで耳から浴びられるため神

ハンサム2020備忘録(Wマサキ中心)

ハンサム2020、まだ見られてないんですけど忘れたくないので書きました。

  

【15日昼】

・挨拶

 太田「前にはこんなにたくさんのお客様、横にはハンサムの仲間たち」
 正木「そして上にはお相撲さんがいる。見守られてます」

 

 これ↑、16日夜のオーラスにも言ってたよね????(まだ2020円盤見てない人)二人で考えたのかな…アフターパンフになんか打ち合わせしてるっぽい写真あったし……ていうかあの写真めっかわじゃないですか????????? あの写真だけでアフターパンフ元取れたなって正直思いました。値段覚えてないけど。

 

・ゲームコーナー

 郁くんが「まずは正木チームから」っつってんのに「え?え?コツコツ??」って小関の答え見てる将熙くん

 郁くんも「じゃあ太田チームから行きますか」って甘やかしててくれててWマサキ…尊い……何が尊いって郁くんのが年下ですよ全生命体わかります?????? 私はこの事実をだいたい忘れているのでふと思い出してはウワッッッッッッ!!!!!!! てなる。

 

・ゲームコーナーのVTR中
 将熙くん:お尻をつけ右膝を立て左手を後ろにつきリラックスした体勢
 郁くん:お尻はつけずいつでも立てる姿勢

 

 いやこの座り方にMCふたりの真骨頂出てるなって思いましたね(オペラ構えつつ)。しかも結構おうちみたいにリラックスしてる将熙くんの立ち上がりスピードがおぴょん!って速いのがさらに…めっちゃ速くなかったですあれ!?!? 幻覚か!?!?!?(※2020円盤をまだ見られていない人)

 

 

・最後の挨拶

 太田「年末が来たって感じ」
 先輩方(たぶんゆじろさんとか)「将熙、いま年末じゃないよ」「それだけ緊張してたんだよな」(フォローが優しい…)

 

 かっわ………………(頭抱え)

 


【15日夜】

・どこかの挨拶

 太田「(客席やうちわに対して)均等に見えてますよ」
 正木「切り分けてるの!?」
 太田「均等に大好きですよ(笑)」

 

 オタク、親だけでなくケーキ的な何かになった事案(死ぬほど笑った)。

 その直後の「改めまして…」に小関の裕太さんからぼそっと「改めすぎ…w」と言われてたのもめっちゃおもろかったです。確かにそう。

 

・最後の挨拶

 渡邊「いちたすいちはー?\にー!/
 にーたすさんはー?\ごー!/
 1+1と2+3でにこっ」
 正木(同じことをやる)
 太田「いちたすいちはー?\にー!/
 にーたすにーはー?\よんー…??/
 みんなのことが大好きだよん笑」

 

 すみませんニワカなので郁くんの持ちネタ?をけすけさんがやったということはわかるんですが将熙くんのあれは何だったんです??????? 自分で言いつつちょっと照れてる感がかわいかった…でも1問目の答えの2がどこに行ったのかはわからない……

 


【16日昼】

・最初のMC

 正木「僕のなまえはー?
 \まさきかおるー/
 昼間だからですかね?そんなんじゃ僕達の熱量に勝てませんよ(ニュアンス)
 僕の名前はー?」
 小関「まさきかおるー!」
 太田「太田将熙ーっ!」
 小関「小関裕太ーっ!」

 渡邊「渡邊圭祐ー!!」

 正木「裕太がいちばん大きかったですからね」

 小関、藤原に耳打ち

 正木「僕のなまえはー?」
 藤原「藤原大祐でーす!!」
 正木「ハイ僕のなまえはふじわらたいゆですよろしくお願いします!(ヤケクソ」

 

 これ当時めちゃくちゃいろんな人がツイートしてたので正直いるか? って思ったけど入れました。なぜならこれは私の備忘録なので!!

 

・最後の挨拶

 正木「正木郁です。\かおるー!/なぁーにぃー」

 太田「ななたすにーはー?なぁーにー?なんつってぇー笑」


 肩の位置で手を広げて首かしげて「何?どういうこと?わからない」という顔をする郁くん…(かわいい)(そうだよね)(尊…)

 

 

【16日夜】

 

・先輩とのMC

 風間「頼れる後輩が〜」
 バンザイする太田将熙、華麗に一礼する正木郁

 

 これ映ってます?????? さすがに映ってますよね???????????(※2020円盤をまだ見ていない人)(三度目)

 

・キュンファイ一回戦

 将熙くん&大祐くんというかわいい顔が二つ並んで死んだ。組み合わせを決めたのはわたしか? 覚えておかなければ…と生き返ったものの、膝を抱えるたい子ちゃんに将熙くんが「わっ!」てした時点であっけなく二度目の死でした。たい子ちゃんに対する好意の透明度が極度に高くてまぶしかったです。ありがとうアミューズ…ありがとう森羅万象…

 

・キュンファイ二回戦

 将熙くんがやったなら郁くんもそりゃやるでしょうオーラスに当ててくれてありがとう!!!!!!! 映像に残るって本当にすばらしい。この一瞬を!!!!!!! 永遠に!!!!!!!!!!! ってときは目と耳だけでなく脳のメモリも必死に動かすので負担やばないですか? 今からでも遅くないので全公演の円盤を出してくれアミューズ。あの二日間四公演、舞台上で起きたすべてのことを覚えていられればこんなお願いをせずとも済むんだが、人間には限界というものがある。

 たかがゲームコーナーにもかかわらず、郁くんの仕事に対する考え方がすごい真摯でハッとしたな…。ゆた子、仕事任せて帰るんかーい!! ってなったのはけすけさん回だっけ?? このあたりマジで記憶が全くないです。一日に摂取できるWマサキ成分量を著しく超えたんだと思う。

 

 

 【その他(日付メモ忘れ)】

けすけ「ヘイヘイピッチャービビってる!」
正木「野球部かな!?」

 

 こんなツッコミをなさっているけど、ちょくちょく郁くんの煽りに野球部みがあってウオーッ声出せ1年ー!!(夢野球部員) となってました。まぁ歴的に絶対わたしが1年なんですけどね。細けえこたぁいいんだよ。

 ポジションどこだったのかな…セカンド*1とかかな…? 打順も教えてほしいです(強欲)。『ダイヤのA』が教えてくれたので野球はギリギリわかる。

 

 あと何日のどこだか忘れたけど郁くんの「名乗れーーーーーーーーッ!」というツッコミと、オーラス最後の挨拶でゆじろさん?にMCを労われた将熙くんの「いえいえ~」というメチャかろやかなおへんじが好きです。Wマサキはバランスがよい…。

 見てないわりにこのキモさすごいな…。いやほんと早いうちに見たほうがいいのはわかってるんだけど…ええ…見ます……。

 

 

*1:守備範囲が内野で二番目に広いので、担当者は視野が広くいろいろと的確、というイメージを抱いている。個人の感想です